リハ室での成果や結果は実力ではありません!
ゆざわひろみ
公開 2019年01月11日
肢体不自由児の不自由な身体を少しでも改善するためには、運動療法と言われる治療手技を施すこととなります。
病院や療育施設で運動療法を受けて、不自由な身体を少しでも自由に動かせるようにする。その治療に使われているのが、運動療法と言われる治療体操です。
臥位の状態で動いたり、座ることができない子どもの治療体操は、屋内で治療体操を行うこととなります。
治療体操(運動療法)を病院や療育施設で受けることによって、各自に応じて運動機能が改善するかも知れません。中には運動機能の改善が見れない子どももおられるでしょうが…。
首がすわり、座ることが可能となり、四つ這いができるようになり、独歩に至る子どももおられます。これらの運動機能は、まずは指導を受けているリハ室や家庭内で見ることができますが、それは指導を受けるときに見えるだけでなく、生活の中で行われるようにしたいものです。
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(1) リハ室や家庭内での訓練
① 動きや姿勢の改善の前に
○ 肢体不自由児の中には、喜怒哀楽の心の変化に伴い、身体の一部や全身に異常な筋緊張が現れることがあります。(アテトーゼ型)
○ 病気の症状の一つとして、手だけ、足だけ、半身だけ、全身と、それぞれの各部に異常な筋緊張を表すことがあります。(緊張性アテトーゼ型・強剛型など)
○ 麻痺の型としての特徴で、筋の成長率が悪いために、関節の動きに制限を及ぼすことがあります。(痙直型)
上記のような様々な原因によって、不自由な身体で動くことが少なくなっていると、身体のあちこちの関節に関節の可動域制限が起きることとなります。
関節の可動域制限は、不自由な身体を更に不自由とさせることとなります。
肢体不自由では、身体を動かすことが難しい症状のために、子ども自身で身体を動かすことが少なく、動きが少ないために関節可動域を生じ、更に動けない身体となっていってしまいます。
関節可動域制限を造らないために、肢体不自由児には全身のストレッチを正しく丁寧に毎日行うことが必要です。
全身のストレッチを行い、身体の変形や股関節亜脱臼から脱臼へと進まないように予防することも大切です。
運動機能や姿勢保持を学ぶことができなくとも、肢体不自由の為から起きる二次障害を予防するためにも、全身のストレッチを正しく丁寧に行いたいです。
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② 姿勢や動きをどの様に多く行わせるか
寝返りや腹這い、四つ這いや膝歩きなどは、屋外で行うことは難しく、屋内で行うことができれば良い動きとされています。
ただ、指導を受けている場所でできれば良いのではなく、生活の中で実践できなければなりません。
家庭の中で可能となった移動法を使って、意識的に目的に沿って動くことが大切なのです。
動くことができるようになっても、動きは遅く、身体も不自由なのだからがんばらせることもなく、すぐに抱っこしてしまう…?
定型発達児では動きを学ぶと、たちまちに動きの速度は増すために、危険予防のために抱き上げることもあるかも知れません。
肢体不自由児の動きの獲得は、その後の運動機能の発達に影響を与えます。
お出かけの際、玄関まで動きを促す!
トイレ(様々な目的に向かって)に行く際に、動きを促す!
生活の中に動きを取り入れることが、とても大切なことなのです。
姿勢保持も同様で、肘立て位、坐位保持などは、どの様に生活の中に取り入れて沢山できるようにするかがその後につながるのです。坐位保持椅子を利用する子ども、何時までも使っていて良いのか? 早期から使って良いのか? よく考えて利用することをお勧めいたします。
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(2) 屋外で行えなければあまり成果と言われないこと
リハ室や家庭内で立ったり歩くことができても、それだけでは現実には何にもならないのです。
外出時に歩けるようになることが、運動療法を行う最も大切な課題なのです。
外出時に歩けるとは…
・ どの様な路面でも歩くことができる。
リハ室や家庭内は滑らかな床ですが、街路はアスファルト鋪装がされていてもでこぼこです。時には鋪装されない道もあるのでは…?
どんな道でも、一人で安心して歩くことができるようにしたいです。
・ 歩く速さが求められる。
交差点や歩行者用の信号によって、道を渡って良い時といけない時に分けられています。
決められた時間内に道路を渡らないと、途中で赤信号となってしまいます。
青信号の間に道路が渡れるように、スピードが求められるのです。
普通、1分間に70mから80mの距離を歩きたいです。このスピードが無理の時には、50mの距離を40秒で歩けるようにしたいです。
最低でも信号の色が変わる前に、道を渡れるようにしたいのです。
・ 大都市では500mを、それ以外では1kmを歩けるように…。
外出すると言うことは、歩くだけでなくバスや電車などを乗り継いで、目的地に行き着くことを指しています。
公共の交通機関を利用するに当たり、大都市では500m、その他では1kmを歩くことによって、公共交通機関に乗ることができると考えています。
その為にこの距離が歩けるようにしたいです。
・ 段差と階段。
バリアフリーと言われて、公共の建物ではエレベーターが設けられるようになりましたが、まだまだ段差や階段を利用しなければ目的地や目的の部屋に行けないことがあります。
段差や階段昇降が一人でできるようにしたいです。たとえ壁や手すりを利用しても…
たった数段の階段でも、壁も手すりも無いこともあります。その様な時には、誰にでも手伝ってもらえば昇降できるようにしておきたいです。
・ 道のどこを歩くのか?
歩道でない限り、道の真ん中を歩く人はいません。
なぜならば何時車が来るかわからず、車道と歩道が一緒の道が多いからなのです。
道の端を歩くことを学ぶのも、経験からなのです。
・ 歩道橋やスロープの利用も…
外出時には、リハ室や家庭内での練習中に無かった事が現実に起きます。
実践で学んでおかなければ、何時になっても外出ができないこととなります。
・ バスや電車の乗り降り、タクシーの乗り方など、いろんな公共機関の乗り物をうまく使えるようにしておきたいです。
→→ いろんな事が課題となりました。
ここで記したことは、外出を歩行で達成したい方の必須事項です。
この他にも、金銭のやりとりとか? お店などでの注文の仕方など、実践で学ぶことが沢山あります。
歩行で出かけなくとも、車椅子で一人ででかければ、同じ様な事が実践の場で求められることとなります。実践は実践の場で学んでおきましょう。
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運動療法を受け続けていても、(1)①の状態で留まる子どももおられます。②まで伸びて欲しいですが…
(2)まで全ての子どもが伸びて欲しいですが、今の私たちの指導法では、残念ですが不可能のこととなっています。
良い指導法を開発するために、肢体不自由児のための運動療法を研究しませんか?
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